


コンシューマー機器の第一人者の目にSPIDERはどう映っているのか。PlayStationの生みの親であり、SPIDERをご自宅でお使いの久夛良木氏に感想や将来の可能性について話を聞いた。
■ 衝撃的な開放感
――SPIDERを使い始めて何が変わりましたか?
家にはPSXやClip-Onなど7~8台のビデオレコーダーがありました。
一番、気に入って使っていたのはソニーのClip-On。後からいろいろ新しい製品が出てきても、これを愛用しつづけていました。
ところがSPIDERが来たことで、このClip-Onがついに引退することになってしまった。
SPIDERについては、以前から知人に「凄い製品がある」と聞かされていたんです。
それで、実際、手に入れてみると、これが本当に、衝撃的に凄かった。
――何が衝撃的だったのでしょう?
まず「根幹的な開放感」があることです。
どの番組を見よう、どの番組を録画しよう。そう言いながら、赤鉛筆を持って新聞のテレビ欄とにらめっこすることもなくなりました。また、それまでのClip-Onのようにハードディスクの空き容量を気にする必要もなくなりました。
それに、なんといっても検索ができるということがすごくよかったです。検索が、ここまで本質的な違いを生み出すとは思いませんでした。
というのも、今までのテレビというのは一方通行で放送されてくるもので、番組は1つのパッケージとしてまとまった形で送られてくるものでした。
それがSPIDERの検索機能によって、番組を外身ではなく中身で選べるようになりました。
このことが、番組を見るという行為をこれほど楽しくするということに驚きました。
――Clip-Onは、どこが気に入って使っていらしたのでしょう。
Clip-Onは、モノとしてのできがよく、ハード単体で十分、魅力的な製品に仕上がっていました。
BS放送と地上波放送を同等に扱うことも気に入っていましたが、それに加えて、なんといっても操作のレスポンスが素晴らしかった。
私はこの「リアルタイム」性というのが非常に重要だと思っています。まどろっこしいことが大嫌いなので、何かをしたらすぐにレスポンスが返ってこないと嫌なんです。
PlayStationをつくったのも「リアルタイム」なコンピューターの追求が原点でした。
そんな私でも満足できるくらいClip-Onの操作は快適でした。