SPIDER Special Interview
久夛良木健氏

3年間隠し通した秘密兵器

フジテレビの「情報プレゼンター とくダネ!」などでもお馴染み小倉 智昭氏は、実はもっとも早くからのSPIDERユーザーでもある。製品がまだプロトタイプの頃からヘビーに使ってもらっている。小倉氏に、SPIDERの活用方法を聞いた。

■ SPIDERで視聴率変化の理由も分析

――実は小倉さんには、SPIDERがまだプロトタイプの段階から、3年以上にわたってお使いいただいているんですよね。今回、ようやくSPIDERを一般向けに販売できることになったので、それにあわせて改めてお話を伺いに参りました。

いつ発売ですか、とずっと聞き続けてきたけど、もうそんなに経っちゃったんだ。

――さすがに3年も使っていると、もう感動は薄れてしまいましたか?

 いや、ぜんぜんそんなことはないですよ。とにかく、僕らの仕事というのは情報が必要じゃないですか。それでテレビから得る情報ってかなり多いんですよね。僕は最盛期にはビデオ8台くらいを駆使していたんですが、年末年始や夏の間は、それらをすべて使って番組を録画しようとしてもぜんぜん足りないんですよ。そういう意味では本当に助かりましたね!
 特に、飛行機の墜落事故や立てこもり事件といった事件・事故が突然、起こったときには重宝しますね。我々はいつもニュース番組を見ているわけではなく、他の仕事もやっているわけです。でも、こうした事件・事故についても語らなければならない。困るのが、こうした突発的なできごとにあわせてはビデオの録画設定をしていないわけです。でも、こんな場合でもSPIDERであれば、すべて録れているんですね。それは後で全部掘り起こしてみられる、という意味で本当に助かりましたね。
 あと、もう1つ良かったのが、同じ時間に他のチャンネルが何をやっていたのかを、簡単に確認できるというのも、今までじゃちょっと考えられなかったことで、これまたとても重宝しています。
 そして何より立ち上がりが速く、拾い出しが速いというのも、僕らみたいに時間に追われている身にはありがたいことです。
 発売まで詳細は明かさない約束でしたが、周りの人、みんなに自慢しましたよ(笑)。

――そうなんですか(笑)。ありがとうございます。

 例えば楽屋などで誰かが「昨日、放送していたあの番組面白かったですよ」とか言いますよね。そこで私が「ふーん、じゃあ見てみる」というと、相手は「えー、録ってあるんですか?」と驚く。「いや、地上波全部録っているから」と自慢するわけです。大抵の相手は「えー、凄いですね」と驚きますよ。
 番組でも何回か言いましたね。
 で、「それは何なんですか?」って聞かれたときに、商品名が言えないっていうのがもどかしくてね。「いや、そういうのがあるんですよ」とごまかしていましたけど。
 まあ、SPIDERには、本当に何度も救われましたね。

――私がいくつか覚えている中では、紀宮様がご成婚されたときに小倉さんが番組のオープニングトークで「いやー、昨日はおもしろかったね。各局、全部の報道を横並びで見たんだ」とおっしゃっていたのが印象的でした。

 そういうこともありましたね。実は自分が生放送に出ている間に、他のチャンネルが何をやっているかっていうのは、僕らにとっては非常に気になるわけです。それと番組放送の次の日には1分ごとの番組の視聴率の推移がでてくるわけです。
 例えばいつもは視聴率はこんなにあるのに、あるコーナーで視聴率が急に下がっていた。なぜだろうと思ったとき、SPIDERを使えば、その瞬間、他の局が何をやっていたかを比べられるわけじゃないですか。「あー、他局はこういうことをやっていたんだ」って。これは分析に非常に役立ちますよね。
 これまでテレビ局では同じようなことを、たくさんのビデオレコーダーを使って、手動でやっていたわけです。それでも、瞬時にあるシーンで裏の番組に切り替えて見ることは簡単ではないんです。SPIDERでは一発ですものね。
 これはTV業界の人には一番役立つ機能ですね。

――そういえば以前、1人SPIDERの担当を用意して研究すれば、絶対に視聴率ナンバー1の番組がつくれるって、おっしゃっていましたよね。

 ええ、絶対にそうだと思いますよ。SPIDERは検索も速いじゃないですか。それにどんどんどんどん改良がされていって(※筆者注 SPIDERでは、時折、インターネット経由のソフトウェアアップデートで機能が追加される)保存指定が簡単にできるようにとか進化しているのもいい。また、あの小さなリモコンで、すべてが親指が届く範囲で操作できるって言うのがスゴイと思います。うちの女房でも使えますからね(笑)。
 今まではここに何台ものビデオデッキがつながれていたわけですが、今ではほとんど使っていません。たまにテレビ局から、ビデオテープで素材をもらったとき、その確認で使うくらいです。
 本当に便利になりましたね。
 最初のプロトタイプは容量1TBでしたが、それが途中から2TBになって、さらに便利になりましたね。SPIDERの番組保存機能で、昔はすぐに95%くらいまで使い切ってしまっていたのが、今ではかなり余裕があります。そういう意味でも便利になりましたね。
 そういえば、最初のプロトタイプのときは、リモコンも汎用のものにテープで機能名を貼付けただけのものでしたよね(笑)。いま振り返ると感慨深いものがあります。

――今おっしゃっていた裏番組を確認する機能など、SPIDERの開発では小倉さんからたくさんの貴重な意見をいただきました。

 僕らみたいに1分1秒で勝負しているような人達って、あまりいないとは思うんですが、そういう人間にとっては本当にSPIDERの存在は大きいですよね。
 それからもう1つ重要なのは、SPIDERがあると安心感があるんですよ。外にいても。
 前は録り忘れ、予約のし忘れにいつもイライラしていて、あわてて家に電話をかけて録画をお願いしたり、その後はパソコンを使って録画したりと頑張っていたんですが、実は結構、面倒なんですよね。
 だからSPIDERは、僕にとっては本当に夢のような機械でしたよ。

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